漢方の正しい使い方とは?注意点も詳しく解説

漢方薬は薬と同じように服用することによってその効果を発揮するものです。しかし、正しい使い方をしなければその効果が出なくなってしまうこともございます。症状の改善のために使うにも関わらず、効果がなくなってしまっては本末転倒ですので、今回は漢方の正しい使い方についてご紹介いたします。

漢方薬の使い方

漢方薬は西洋医学とは異なり、病気に対して改善を促すというものではありません。あくまでも対象となるのは病気を患ってしまっている患者自身なのです。病気になり、何かしらの異変を感じているということは、体のバランスが崩れてしまっている状態といえるでしょう。漢方はそんな崩れてしまったバランスを整えるために使用するものなので、積極的に使っていきましょう。

風邪の症状に対しては風邪薬というように、西洋医学における薬の場合にはそれぞれの症状に合わせた薬の服用をすることになりますが、漢方の場合は少々異なります。葛根湯(かっこんとう)のような風邪といった特定の症状に紐付いているものは存在していますが、実際に処方する際には症状に加えて患者の状態をしっかりと考慮した上で、どの漢方薬を使用するのかを決めていくのです。

漢方薬を実際に服用する際、食前の空腹時に服用するものが多くあります。これは薬とは異なり胃腸に対して負担をあまりかけないためです。煎じ薬の場合であれば温めた状態で飲むのが一般的ですが、エキス剤の場合は白湯に溶かした状態で飲みましょう。ただし、吐き気を感じている場合には水など冷えたものにするとスムーズに飲めるようになります。

漢方薬の即効性

漢方薬は継続して飲み続けることによって徐々に効果が見られるというのが一般的なイメージでしょうか。たしかに、全身の倦怠感解消に使う補中益気湯(ほちゅうえっきとう)などのように、効果が出るまでに時間がかかるためしばらく飲み続けなければならない漢方薬も存在します。

しかし、即効性の高いものもあるのです。たとえばインフルエンザの症状に対して効果的な麻黄湯(まおうとう)や風邪の症状に効果的な葛根湯などが挙げられます。

ここで重要となるのが『少しでも早く飲む』ということです。体のバランスを整える漢方薬にとって、飲むのが遅れてしまった場合にそれまでに放置された症状を改善するとなると、それなりに時間を要してしまうことになるのです。

症状を感じた時点からすぐに漢方薬を飲むことによって、効果の実感もより早くなるでしょう。つまり、いち早く漢方薬を飲むようにすることで、即効性が高まるというわけです。

また、もう一つ重要となるのは『証』であり、こちらはいわゆる西洋医学における診断にあたるものになります。患者の体質や体の持つ抵抗力、病気の原因などを調べていき、その上で証にあった漢方薬を処方することで、効率的に体のバランスを整えることができるのです。この証をベースとしているため、同じ症状であっても処方内容に違いが生まれます。

副作用はあるのか?

天然の生薬を使用しているとはいえ、飲み合わせなどによっては副作用が発生してしまうことも少なくありません。どのような状況で副作用が発生してしまうのかというと、決まっている1日の摂取上限量をオーバーしてしまったときに起こります。

漢方薬には多くの生薬が用いられており、実際にはその中から複数種類を選択して煎じることになるわけですが、その際に含まれる生薬が重複することがございます。生薬の中でも特に重複する可能性が高い成分は甘草というもので、こちらを過剰に摂取してしまうと体内のカリウムが低下し、血圧の上昇などの副作用が現れてしまうのです。

あらかじめ複数の漢方を飲むことが決まっているのであれば、その組み合わせに問題がないような処方がされるのでそれほど心配はないでしょう。しかし、それぞれを単独で処方してもらった場合は患者自身が管理しなければいけなくなるので、摂取上限量をオーバーしてしまうことも多くあります。複数の漢方を飲む際には、専門家や医師に相談をした上で行うようにしましょう。

漢方薬を使う際の注意点

漢方薬を使う際の注意点として、西洋医学のように症状に対してピンポイントで改善するものではないということを改めて認識するようにしてください。西洋医学の薬のような感覚で服用すると効果の現れ方に疑問を持つかもしれませんが、崩れてしまった体のバランスを長期的に整えるものであることを認識することでその漢方薬との付き合い方も変わってくるでしょう。

また、煎じ薬とエキス剤を上手に使いわけるということも注意ポイントです。煎じ薬のような効果の高いものがなければエキス剤を使いましょう。

効果が高い煎じ薬で常に飲むというのはとてもいいことですが、エキス剤でも代用することは可能です。どちらでも継続して飲み続けることが大切ですので、臨機応変に使っていきましょう。

まとめ

体のバランスを整えるために飲むのが漢方薬ですので、正しい飲み方を知ることが大切です。しかし、組み合わせにより悪い状況になっていたとしたら、せっかくの漢方薬の効果が帳消しになってしまいます。ありす薬局では漢方の相談をいつでも承っていますので、お気軽にご連絡ください。